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Discoid Lateral Meniscus
Dong Hoon Lee
円板状半月板
一つ目。破れて壊れた軟骨板(meniscus)をそのまま全部を取り除いてしまうと、手術することも簡単であり症状も早く良くなりますが、当面の快適さよりも遠く将来を考える治療をします。 二つ目。どんなに酷く破れた円板状半月板(軟骨)だとしても可能な限り保存します。
円板状半月板(discoid meniscus)は、正確には円板形軟骨板とするのが正しいです。「軟骨」といえば「cartilage」を意味し、今の話しをしようとする「meniscus」の正確な用語は「軟骨板」が正しいです。
それでは、軟骨と軟骨板はどのように異なるのかから見ていきましょう。 エックス線検査を見れば、骨と骨の間に空間(赤い矢印)がありますが、実はこの空間にはエックス線検査では目に見えない軟部組織ら(soft tissues)があります。
エックス線検査で見れない軟部組織を見ることができる検査が、MRIです。 同じ人のMRIを見れば、軟骨(黄色い矢印)と円板状半月板(赤い矢印)を見ることができます。
軟骨板は、関節の端からくさびのように存在します。太ももの骨とふくらはぎの骨の形が異なるために、くさび形の軟骨板が合わさることによって調和のとれた関節(congruency)を成すことができます(青い円)。ところが、軟骨板がくさび形ではなく円板形の場合にだんだんと太ももの骨が軟骨板を押し付けるようになります(赤い矢印)。
膝にある構造物らは全てそれぞれの役割がありますが、軟骨板の存在感はやはり凄いものです。つまり軟骨板が正常に機能していなければ、形が異なる太ももの骨とふくらはぎの骨が互いにぶつかりながら軟骨(青い矢印)は擦り減らされて、いわゆる退行性関節炎が進行されるようになるので、非常に重要な構造物です。
円板状半月板は名前のように軟骨板が円板に成っているということです。つまり、元々は三日月形ですが満月のように成っているのです。完全な満月形である場合には完全円板状半月板(complete discoid)、半月の場合には不完全円板状半月板(incomplete discoid)と呼ばれます。下のMRIは完全円板状半月板を示しています(青い円)。
円板状半月板が持つ問題は、大きく分けて二つです。 一つ目は、よく破れます。円板状半月板は膝の中に生じる一種の先天性奇形であり、正常に比べて組織自体が弱いです。また、元々ないはずの空間に軟骨板の組織があるため周辺の骨が押し付けられます。そのためによく破れます。下の写真は、実際の円板状の軟骨が破れている内視鏡の写真です。
二つ目の問題は、不安定です。実はこれがより大きな問題でもあります。円板状半月板は元々の位置に無く関節の中であちこちに押し出されては不安定性を伴う場合があります。前に押し出されると、ある日突然に膝が伸びなくなり、後ろに押し出されると膝を曲げる時も痛くなり、また膝を動かす際にカチカチとする感じがしたりします。不安定性がある場合は軟骨板を、所定の位置によく縫合することが非常に重要です。
円板状半月板が膝の前方に押し出されていて、軟骨板の変性が深刻に見えます
円板状半月板が膝の後方に押し出されています
円板状半月板の発生の原因としては、いくつかの仮説があります。胎児の段階で円板状だった軟骨板の中央部位が吸収されるべきなのに、この過程がうまく進行せずに残ったものであるという仮説があり、この仮説が先天性奇形と言う根拠になります。また、ある学者は発達性だと主張しますが、大体は円板状半月板が先天性だとする意見が一致しています。
「全人口の中でどの位多くの人が円板状半月を持っているのか」を正確に判断することは困難です。なぜなら症状がない円板状半月板も多いからです。文献には、0.4-17%程度だと報告されています。特にアジア人種に多いです。また、片方の脚に円板状半月板がある場合に反対側の脚にもある確率は20%程度とされますが、手術が必要な場合に、症状がない反対側の脚を確認してみると、これよりももっと高い確率で両側性円板状半月板を持っています。
1910年頃に円板状半月板は、最初は「カチカチと鳴る膝症候群(snapping knee syndrome)」という名前で報告されていました。円板状半月板が不安定性を持つ場合が多いのですが、このような症状が発生することがあります。円板状半月板は、形状・安定性において非常に多様に存在します。このような多様性に起因して症状も非常に多様です。 生涯に何も知らずに過ごして偶然発見された場合もあります。もちろんこのような場合は、治療を必要としません。またある方は、40〜50代の関節炎が進行された後にようやくその原因が円板状半月板だったことを知るようになる場合もあります。
円板状半月板が症状として現れる際に、最も重要なことの一つは「不安定性」です。つまり円板状半月板が所定の位置にいられず、膝の中でが行ったり来たりする典型的な症状を見せます。膝が完全に伸ばせないか、膝の中でカチカチする感じ、またカチカチと動くのが目で観察されることもあります。
小児青少年の時期に発見された円板状半月板の殆どは、不安定性からくる症状が多いです。 また、円板状半月板はよく破れやすいのですが、破れてしまうと膝に痛みや浮腫(水が溜まること)が生じることもあります。
円板状半月板の治療は状況に応じて異なります。 症状がなく偶然に発見された場合は、治療を必要としません。 症状がある場合には、症状に応じて、また実際の円板状半月板が破れている形態に応じて、不安定性の程度に応じて、手術の方法が異なりますが、通常は手術的な治療が必要です。 円板状半月板は形態に応じて、完全型(complete)と不完全型(incomplete)がありますが、完全型の場合に不安定性を伴う場合が多く、この場合には必ず手術が必要です。 このように軟骨板が押されている場合は、手術の対象となります。
過去に関節内視鏡技術が発展する以前には、関節を開いて円板状半月板を全て剥がし出すことが治療でした。関節内視鏡技術が発展しながら、可能な限りに正常な形に近く作りあげて不安定な軟骨板を所定の位置に縫合することが可能になりました。韓国人は手の技術が良いという話しを聞きますが、実際に関節内視鏡関連の高度な手術技術は韓国で開発されたものが多いです。 円板状半月板を治療する際に最も重要なことは、可能な限りに全切除術(total meniscectomy)をせずに保存することです。ただ保存だけをするのではなく、正常な状態に近く形を作ってあげて、不安定な部分をよく縫合することです。李東訓骨延長再建病院は、小さな可能性であっても、このような方向で治療します。
下の症例も、完全円板状半月板(黄色い矢印)をしっかりと仕上げた後に縫合しました(赤い矢印)。青いの円の部分を見ると、既に損傷した関節軟骨を見ることができます(青い円)。円板状半月板が特に不安定な場合には、周辺の正常な軟骨組織に損傷を与えるため、このような場合は子どもの頃でも手術しなければなりません。
しかし縫合をしても付く可能性が殆ど無い、深刻な破裂が稀にありますが、この際には全切除術をすることになります。軟骨板を全て剥がし出すことになると(全切除術)、長期的に膝に関節炎が早く生じる可能性があるため、成長板が閉じた後に、「軟骨板移植術(meniscus transplantation)」を行うこともできます。 手術後の1年後に再び撮影したMRIで、よく治療された軟骨板を観察することができます
李東訓骨延長再建病院を訪れる大部分の円板状半月板の患者様は、小児及び青少年です。若い時期に症状が現れたということは、殆どが「不安定」性を持っているということです。そのため軟骨板の縫合が必要な場合が多くあります。「若い時期に手術してはならない」「成長板が閉じた後に手術しなければならない」など、インターネットに根拠のない話がありますが、手術の対象となる場合には若い時期でも手術することが正しいのです。もちろん応急手術ではありませんが、長い間に放置していると、周囲の健康な軟骨まで損傷を与え、今は保存することができるものが、後には全て切ってしまわねばならないほど壊れる可能性があるからです。
正常な関節の様子(大腿骨の軟骨(黄色い矢印)と正常な半月板(赤い矢印)
円板状半月板の様子(大腿骨の軟骨(黄色い矢印)と円板状半月板(赤い矢印)